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社畜根性バリバリだった僕が、育休で気づいた仕事のキャリア観

育休を取りたいと思う男性は年々増えている一方、実際に育休を取った男性はわずか6.16%。厚生労働省が発表した2018年度雇用均等基本調査(速報版)には、こんな数字が出ていました。

育休を取れない事情は人それぞれですが、「将来のキャリアに影響があるかも…」という危機感ゆえに育休取得に二の足を踏むという男性は、かなり多いのではないでしょうか?

「キャリアへの多少の不安はあったけれど、育休を実際に取ってみると、むしろキャリアに対する考え方が深まった」と話してくれたのは、今回お話を伺ったイミーさん。

男性にとっての「育休とキャリア」についてを中心に、お話を伺いました。

イミーさんのプロフィール

イミーさん 育休取得期間 修正
イミーさん 正社員(プロダクトマネージャー)/
フルタイムで復帰予定
奥さま(ムラキさん) 正社員(法人営業)/
フルタイムで復帰予定
育休期間 1回目:生後1ヶ月目から1ヶ月
2回目:生後10ヶ月目から約1年を予定

29歳のイミーさんは、1歳6ヶ月のお子さんを育てているパパ。今、イミーさんは2回目の育休を取得中です。奥さんは産休から連続して育休を取得中。夫婦で育休を取っている、いわゆるダブル育休の状態で子育てをしています。

きっかけは妻の「あなたも育休取るよね?」

育休 イミーさん③

― 夫婦でダブル育休を取得しているとのことですが、まず、イミーさんが育休を取ったきっかけから教えてもらえますか?

妊娠中の妻から「あなたも育休取るよね?」と言われたから、ですね。子どもが生まれてからのスケジュールを二人で考えているとき、妻から「あなたも育休取るから…」みたいな話しされて、あれ? って(笑)。

もちろん子どもが生まれたら、全力で家事育児に取り組もうとは思っていたんですけど、育休を取るっていう発想までは正直なくて。でも妻の中では、僕が一緒に育休を取ることが当初から計算に入っていたみたいです。

育休について知識がなかったので、そこから育休の仕組みや取り方を調べ始めました。

― 育休を検討したこともなかったのに、すぐに切り替えられたのはすごいですね!

私は仕事で子ども向けのアプリを作っていて、だからこそ、自分の子どもの成長を近くで見たいという気持ちがありました。

― なるほど。一般的に男性は育休を取りにくいようですが、会社のなかで何か障害はなかったんですか?

そうですね、特になかったです。社内には短い期間だけど育休を取った男性もいましたし。いわゆる国が定めた育休とは別に、育児中に3年まで休める制度も会社独自にあるんです。

さすがに3年めいっぱい使っている人は多くはないようですが、男性が育休を取ることには、比較的寛容というか受け入れてくれやすい環境ではあると思います。

― 素晴らしいですね。実際はどのくらいの期間、育休を取ったんですか?

1回目は息子が産まれて産後4週から8週まで、期間としては約1ヶ月です。そもそも、そこまで長期の休みが必要だとは私も妻も想定していなかったので、1回目は短期で取得することにしました。

― 1回目……ということは、2回目が?

はい、実は今も育休中で。2回目は息子が生後10ヶ月のころからで、今8ヶ月目くらいですね。1回目と合計で9ヶ月取得していることになります。

― 育休を2回に分けて取ることなんてできるんですね!

調べていくうちにわかったことなんですけど、父親は生後8週までに1回目の育休を取り終えると、そのあともう一度取ることができるんです。この制度を事前に調べて知っていたので、1回目を8週で切り上げる判断をしていました。知人でこれを知らず、初回を8週以降に取得してしまい、2回目を取得できなかったという話も聞いていたので、下調べがとても重要だと感じました。

2回目の育休でぶつかった課題

育休 イミーさん②

― 育休を2回取ることができるというのは、世間にはあまり知られていないような気がしますね。

そうですね。ただ、本当は息子が1歳になった4月に保育園に入れるつもりで、今頃は保育園に入れて会社に復帰をしている予定でした。なので、2回目の育休はこれほど長くなる予定ではなかったんです。結局、保育園に入れず待機児童になってしまい、私も妻も育休を延長している状態です…。

― そのタイミングで、夫婦どちらかが仕事に復帰することは検討しなかったんですか?

検討はしたんですが、結局ふたりとも育休を延長する判断をしました。お互いのキャリアを考えると、ふたりで育休を取り続けた方がいいだろうな、と。

― ふたりで育休を取った方が、お互いのキャリアのためになる、ということでしょうか?

はい。片方のみが仕事に復帰した場合、もう片方は必然的に、ほとんどの時間を育児と家事に費やすことになります。自分が育休を取ってみて痛感したことですが、子どもと過ごしている間は、自分の時間というものがほぼ取れないんですね。

ダブル育休なら、家事や育児を分担することで、ふたりとも自分の時間をつくることができます。仕事復帰後のためのスキルを身につけることや、副業でキャリアをゆるやかに継続することもできる。

我が家の場合、「お互いのキャリアを断絶しないこと」をもっとも重要視していたので、ダブル育休の継続が有効な手段でした。

もちろん、キャリア以外にもメリットはあります。家事に費やす時間を分けられるから、子どもと接する時間を増やせるとか。

― 確かにひとりで家事育児をするより、ふたりでできた方がお互いの余裕は生まれそうですね。

ふたりで分担していてもめっちゃ大変ですけどね(笑)。でも大変さを共有できたからこそ、家庭内の役割分担を積極的に見直すこともできました。家事代行を頼もうかとか、ベビーシッターにお願いしようとか、スマート家電を導入しようかとか。

片方が働いて片方が育休を取っていると、働いている側は家の事情がどうしてもわからないし、つい働くことを優先して、家事・育児の時間が取れなかったりするしで、もっとバタバタしていたと思います。

ダブル育休を取ることで、夫婦それぞれの時間をどう使うのが一番いいのかをじっくり考えられたのが、長い目で見るととても良かったと思います。

― それは素晴らしいですね。一方で、ダブル育休を取ることのデメリットは感じていないんでしょうか?

うーん……デメリットはあります。よく言われるデメリットはお金と社内キャリアですね。お金は育児休業給付金という公的な支援があるので、足りるか足りないかは別として、解決方法は提示されています。

社内キャリアについては、1回目の育休を取るときは特に問題なかったんですが、2回目は長期ということもあって、今後を心配する声がありました…。

― それを言われても、イミーさんは育休を取る考えは変えなかったんですか?

変わりませんでした。もともと私は社畜根性というか、周りからの評価が気になってしまうタイプだったんですが、いざ1回目の育休を取ってみると、家族と社会とのバランスを考えるようになりました。

そして、「会社の中でキャリアを築くこと」も大事ですが、同じぐらい「社会の中でキャリアを築くこと」も重要だと考えるようになりました。育休を取って息子と過ごした経験は視野を広げてくれましたし、確実に今後の人生にプラスになると思っています。育児もキャリアのうち、みたいな感覚です。

迷ったら、生後8週以内に一度目の育休を取るべし!

育休 イミーさん

― ちょっと口には出しにくいデメリットの話まで、率直にいろいろ教えてくださってありがとうございます。最後に、育休を取ろうか迷っている男性に、メッセージをお願いできませんか?

育休は、取った方がいいです! 当然ですけど、子どもの出産直後は人生における大切な時期ですよね。そのタイミングで、自分の子どもと向き合う時間を作った方がいいと思います。

ただ、育休をどのタイミングでどれだけ取るか、夫婦でダブル育休を取るのか、別々に取るべきかなどは、それぞれの家族の事情で違います。これって正解はないですよね。うちは両親が近くにおらず、サポートを受けられない核家族なので、ダブル育休を取ったという事情もあります。

もし、育休を取るタイミングや期間で迷っているなら、まず生後8週以内に終わる育休を取った方がいいです。そうすれば、後でもう一回育休を取るチャンスがありますから。これは完全にライフハックというか、テクニックですけどね。生後8週以内に1週間でも2週間でも育休を取ってみて、もう1回取りたいなと思えば、もう1回取りましょう。取ってみないと分からないこともありますからね。

育休について知ることで、不安を解消!

要出典 育休シュミレーター 出典: 13imi.me

今回お話しを伺ったイミーさんは、1回目の育休のあとに育休シミュレーターというウェブツールを制作しました。

「実際に育休を取るにあたり公式サイトを見たりして調べたんですが、とにかく制度がわかりにくくって」というのが、制作のきっかけ。

育休制度は調べてみても複雑で、夫婦で社会の中でのキャリアを考えると、ダブル育休が最適なチョイスだったか分からないことも多いかもしれません。お金やキャリアの面で育休を取得するか迷っているのであれば、イミーさんのサイトで情報を集めて、前向きに検討してみてくださいね。

家庭内のリソース不足を解消するために、夫に育休取得を頼んだ話。

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