「産後ダイエット」と検索すると、たくさんの記事が出てきます。しかし、色々あって、どれが効果のある産後ダイエットの方法なのか、正しい情報かわからない、ということもありますよね。
そこで今回は、産後ダイエットのよくあるギモンについて、専門家の人たちに突撃取材を敢行しました!
産後ダイエットする人はどれくらいいるの?
出産後、ダイエットを行う人はどれくらいいるのでしょうか?ninaru babyが行ったアンケート(※)によると、産後に妊娠前より体重が増えたママのうち、約3割のママがダイエットに臨んでいることがわかりました。
しかし、その中には、誤った産後ダイエットの方法で体調を崩したという例も。
編集部ママM
産後、体重が増えたので、妊娠前と同じようなダイエット方法で産後ダイエットをしていました。しばらく続けていたのですが、ある日具合が悪くなって、育児中に倒れてしまいました。
産後のママの体は、妊娠前とは違います。一般的なダイエット方法との違いを学んでいきましょう。
産後ダイエットのギモンに専門家が答えます
ここからは産後ダイエットのギモンについて、3人の専門家の方にお話を聞いていきましょう。
管理栄養士安蒜 ゆいさん
病院・保育園にて管理栄養士として献立作成・衛生管理や食育活動に携わり、現在は独立しフリーランス管理栄養士・彩り時短食プランナーとして活動中。
看護師、助産師河井 恵美さん
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。救急、外科外来等も経験し。現在は、シンガポールで2人の子どもを育てつつ、現地の産婦人科に勤務し、日本人の妊産婦さん方に関わっています。
RIZAP KIDS・MAMA パーソナルトレーナー柳下 郁子さん
フリーランスの骨盤トレーナーを経て、1年前より現職。幼稚園教諭の経験をいかして、子供はもちろん、子供の幸せを支えるママの健康・ボディメイクにもコミットしている。RIZAP MAMA
産後ダイエットのギモン1「炭水化物抜きなどを含む、食事制限はOK?」
最近流行中の「炭水化物抜きダイエット」など、ダイエットの定番である食事制限。産後のダイエットでこのような食事制限はしてもいいのでしょうか?
安蒜さん
NG!
体の回復や母乳のためにも極端に食事を減らすことは避けるべき。全てはバランスなのでどれかを摂らなければいいということではありません。
河井さん
NG!
産後は、自分の体の回復のためと、母乳のために栄養が必要になるので、極端な食事制限は体を作るための栄養不足の原因に。また、「りんごダイエット」など、特定のものばかりを食べるダイエットも栄養不足となり、赤ちゃんを育てるための体力が維持できなくなるので、やめましょう。
柳下さん
NG!
授乳中の方の推奨エネルギー量は、1日あたり標準女性よりも350kcal多く必要です(※1)。そのため、普通の食事で自然にダイエットすることができるので、バランスよく主食・主菜・副菜を食べることを心がけてください。ただ、添加物の多い食品やトランス脂肪酸の多いインスタント食品やスナック菓子、菓子パンなどは健康的な母乳のために控えめにした方がいいでしょう。
産後ダイエットのギモン2「ジョギングはしてもOK?」
ダイエットの基本である有酸素運動。一番わかりやすい例がジョギングですよね。特に産前から趣味にしていた人は、産後ダイエットにもジョギングを取り入れたいと思うかもしれませんが、やっていいものなんでしょうか。
安蒜さん
OK!(1ヶ月健診で問題なければ)
1ヶ月健診で医師からの許可が出るまでは基本的にNG。許可が出た場合は、体を慣らす意味でも、ペースを落として距離も短くするなど無理のない範囲で行ってください。体を動かすことでストレス解消にもなり産後うつ予防にもおすすめです。
河井さん
OK!(1ヶ月健診で問題なければ)
1ヶ月健診で問題なければ、最初は軽いジョギングから始めましょう。産後は、足の筋力が落ちている人も多いと思うので、無理をしないで少しずつ慣らしながら行えるといいですね。気分転換にも良いと思います。腰が痛い、体の不調があるときには無理をしないでおきましょう。
柳下さん
OK!(産後8週以降)
1ヶ月健診で医師より運動の許可が出たら、産後8週くらいから赤ちゃんを連れてお散歩がてら、ゆっくりのウォーキングから始めましょう。1ヶ月健診までは、ジョギングよりも血流を促進して骨盤を整える産褥体操がおすすめです。
産後ダイエットのギモン3「サウナに入ってもOK?」
汗を大量にかくため、手っ取り早く体重にコミットできるサウナ。さて、産後ダイエットでは、サウナは入っていいものなのでしょうか?
安蒜さん
OK!(1ヶ月健診で問題なければ)
ただし、産後は体力が落ちていたり、疲労がたまっていることもあります。デトックスはもちろん、冷え性にも効果的ですが、サウナは体力の消耗や水分不足の心配もあるので、無理のない範囲でしっかり水分補給を行いながらにしてください。
河井さん
NG!
授乳中は、たくさんの水分を補給していても、母乳を与えることで水分不足になっている可能性があるため、サウナはおすすめしません。また、サウナでは水分を体外に出しますが、水分を補給するとプラスマイナスゼロになりますので、ダイエット効果は高くないですよ。
柳下さん
OK!(産後8週以降、悪露が出なくなったら)
1ヶ月健診で医師より入浴の許可が出て、産後8週以降で悪露が出なくなってからにしましょう。サウナは血流を促進して汗をかきデトックス効果がありますが、汗で水分が出ただけなので痩せたわけではありません。また育児で疲れ果てている時は避けて心地いい範囲にしましょう。
産後ダイエットのギモン4「腹筋・背筋・体幹トレなど、筋トレはOK?」
「基礎代謝を上げるためには、筋肉をつけることが必要」と聞いたことありませんか?自宅でできるトレーニングも多くある中、産後ダイエットでも筋トレはやっていいものなのでしょうか?
安蒜さん
OK!(産褥期が明けたら)
定期健診で医師の許可が出たら始めても大丈夫ですが、産褥期(6~8週間)はできるだけ安静に過ごす方がいいでしょう。産後は体力が落ちていたり、疲労がたまっていることもあるので、負荷を軽くし無理のない範囲で行ってください。筋トレをすることで基礎代謝も上がりますよ。
河井さん
OK!(1ヶ月健診で問題なければ)
1ヶ月健診で問題なければ、負荷の軽い腹筋や背筋、体幹トレーニングなどから、徐々に行ってもいいでしょう。初めは気分転換も兼ねて、気持ちよかったなと思えるほどの運動量にしましょう。ただし、腰の痛みなど、体に不調があるときには無理をしないでおきましょう。
柳下さん
OK!(産後2ヶ月以降)
産後1ヶ月健診で医師より運動の許可が出たら、体に負担のない骨盤まわりを整えるものから始めましょう。ただし無理は禁物ですので、産後2ヶ月以降の実施がおすすめです。自分の心や体の疲れとも相談しながら、気持ちよく動ける範囲で行いましょう。
産後ダイエットで「産後1ヶ月健診でOKが出たら」の条件が多いのはなぜ?
産後ダイエットのギモンについて、専門家の方々に聞いてきましたが、特に体に関することについては「産後1ヶ月健診でOKが出たら」という条件があるものが多かったですよね。
産後ダイエットも骨盤矯正のように、「できるだけ早く始めた方が効果が出やすいのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、これにはワケがあります。
産後6〜8週の産褥期と呼ばれる期間は女性ホルモンの分泌量が急激に変化し、出産で受けた体のダメージを回復させる時期です。骨盤を支える筋肉が緩んでいたり、子宮も妊娠前の位置からズレていることも。
そのため、この時期の無理な運動はその後の回復にも影響を与えてしまう可能性があります。産後すぐの時期は、激しい運動は控え、心も体も休ませることを優先しましょう。
産後ダイエットに焦りは禁物!
ご紹介してきたように、産後ダイエットは誤った方法で行うと、産後の体の回復に悪い影響を及ぼすこともあります。
「早く痩せたい」という焦る気持ちは抑え、少なくとも1ヶ月健診までは、「体の回復>産後ダイエット」と考えて、バランスのいい食事を心がけ、体を休ませてあげてくださいね。
※アンケート概要
実施期間:2018年10月28日~10月29日
調査対象:2歳までの子供がいるママ
有効回答数:2,015件
収集方法:Webアンケート