こんにちは、ninaru baby編集部の佐野です。
産後4ヶ月頃、産後ダイエットに勤しんでいた私は、赤ちゃんとの外出に慣れる練習もかねて、子連れで通える体操教室のようなものがないかと探していました。そこで見つけたのが「マドレボニータ」という、バランスボールを使った産後ケアの教室。
今回は、ただ「ダイエットしたい」「赤ちゃんとおでかけする機会を作りたい」という動機で申し込んだこの教室で、思いもよらぬ体験をした話をしたいと思います。
きっかけは産後ダイエット
「マドレボニータ」とは、産後女性の「心と体のためのエクササイズ」「セルフケアのプログラム」を全国で展開している団体です。
簡単に説明をすると、教室では以下の2つを主に行います。
- バランスボールを用いて「骨盤のケア」を行い、体力や出産でゆがんだ体を戻すこと
- 体を動かした後には自分たちの産後の気持ちを言葉に出し、「心のケア」をすること
私がマドレボニータを見つけたときは、「バランスボールを使って体を動かす」「赤ちゃんも連れていってOK」という2つしか目に入らず、軽いノリで申し込みをしました。
マドレボニータが、産後の女性の心のケアに取り組んでいるということは、受講を申し込んだ当時はまったく知らなかったのです。
下の名前で呼ばれる不思議な感覚
マドレボニータは教室にもよりますが、多くて8~10組ほどの規模。教室初日、私を含めて赤ちゃん連れのママが4組いて、みんな初対面です。
初日は自己紹介からはじまりましたが、まず意表をつかれたのが名前のことでした。
産後3ヶ月頃、別の場所で通っていたベビーマッサージは「●●くんママ」が愛称。マドレボニータでは、まずは苗字で呼びあい、その後「(ママの)下の名前や呼ばれたい名前を名札に書いてください」というのです。
ママである前に1人の女性であることを大切にするのがマドレボニータの考え方で、そこで私は「ハッ」と我に返るような感覚になったのを覚えています。
実際にシールの名札に名前を書くものの、ママというベールを1枚脱がされたような、恥ずかしいとも少し違う不思議な感覚に。
そんな感覚になること自体も発見でした。
ハードで楽しいバランスボール
ひととおり自己紹介をしたあとは、さっそくバランスボールを使った体のケアがスタート。
先生は笑顔が印象的な生き生きとした女性。快活な声で場の雰囲気を盛り上げてくれたおかげで、初回から楽しい気分ではじめることができました。
赤ちゃんを抱っこしながらバランスボール
まずはバランスボールの感覚に慣れるために、赤ちゃんを横抱きしながら上下に跳ねます。「もっと!」といわれるくらい、激しく跳ねます。
こんなに上下に揺れて大丈夫?と思うくらいでしたが、赤ちゃんの体には支障がない抱き方のコツも教えてくれるし、激しいとはいえ、赤ちゃんには影響がない程度をしっかり把握しているうえでのこと。
むしろ、跳ねているうちに揺れが心地よくなったのか、赤ちゃんが寝てしまうこともありました。
骨盤・骨格を意識してエクササイズ
バランスボールの上では、しっかり骨盤を立てて座ることをチェックしながら行います。
跳ねながら左右に足を延ばして、足の付け根を柔軟にすることでゆがみを整える方法、前後に動いて骨盤のゆがみを整える方法など、バランスボールを使って様々な動きを実践。
跳ねながら動くだけでなく、バランスボールに背中を預けて、肩を開いたり腰を伸ばしたり。壁に足をつけてボールに浅く座り、体を整えるのに一番大事な腹筋運動もしました。
意外にもこれが、笑ってしまうくらいハード!徐々に汗がにじみでてきて、体をたっぷり動かしている感覚が気持ち良くなっていきました。
バランスボール後は呼吸法でリラックス
自宅でもできる、自律神経を整える呼吸法で、最後はリラックス。
足の付け根のゆがみを整えるため、あおむけに寝て片足を上げ、足の付け根から左右に動かします。ゆっくりとした呼吸も忘れずに。これは少しキツイけれど、骨盤ケアにもなるそうです。
激しく動いたあとのこの時間は、すぐにでも眠れそうなくらい心地良かったのを覚えています。
赤ちゃんも自由にゴロゴロ…
赤ちゃんを抱っこしながら行うのが難しいときや、赤ちゃんが眠たいときは、床で自由にさせてあげられるスペースがあるのも、良かったこと。
赤ちゃん同士が見つめあっていることもあり、微笑ましい光景がみられました。授乳をしたいときやおむつ替えをしたいときも自由に。
赤ちゃんと一緒の空間で、自分の体と向き合うことができる経験が、とても新鮮でした。
自分の気持ちに気づけたシェアリング
体をたっぷり動かしたあとは、「シェアリング」といって、今度は自分自身の心のケアをする時間が設けられていました。
ここでは、1人の女性として自分の気持ちを言葉にする時間。ママではなく、1人の人間としての考えを口に出すことで、産後の不安定な気持ち、見えない不安と向き合います。
私はこの時間のことを何も知らずに受けたので、何をするんだろう…と少しドキドキしました。
テーマは、「人生」「仕事」「パートナーシップ」について。初対面の人と話すには、ちょっとびっくりするテーマです。
マインドマップで自分と向き合う
まず渡されたのは1枚の真っ白な紙。3つのテーマの中から一つ選び、好きな色のペンで中央に絵を描きます。
「自分がこうしたい、こうありたい」という、テーマについて希望の絵を描く。
この際、好きに描いてみようと、思いついたことをシンプルに絵にしました。
そこから触手のように線を広げ、地図のような道ができマインドマップの完成です。
2人1組で自分の気持ちを表現する
次に、2人1組になって、先ほど描いたマインドマップを相手に渡します。
そして、1人3分ほどテーマについて話し、話を聞いている相手は、話している側のマインドマップにその言葉をのせていく。3分が経過した後、話を聞いていた人は書き込んだ紙を見ながら、相手の話を要約して返す。
これをお互いが行います。最後に、話を聞いていた人は相手にメッセージを書いて返すというのがシェアリングの流れでした。
育児に埋もれて見えなくなっていたものをかきだすように、少しずつ言葉をつむぎ出しました。
輪になってみんなで感想を言い合う
最後は、みんなで輪になって、シェアリングの感想を言葉にします。
マドレボニータの教室は全4回の約1ヶ月。1回目はみんな少し様子をうかがっているような雰囲気でしたが、回を重ねるごとにみんなの言葉が増えていくのがわかりました。
先生はそれを聞いて整理をする。1つの答えを出すということはしません。同じ立場になって、話を聞いてくれます。
同じ時期の受講生と卒業後もランチに
「産後ダイエット」や「赤ちゃんとのお出かけの機会を作りたい」という動機で始めたマドレボニータでしたが、体のケアはもちろん、思ってもみなかった心のケアを体験することに。
大きな悩みや不安があるわけではない…と思っていたのですが、産後にパートナーにイライラしていたのは事実。そのイライラが何なのか、相手だけが原因ではないことにも少し気づくことができました。
そんなディープな話をし、ハードで楽しい運動をした教室のメンバーとは、教室後にランチをすることや、なかには卒業後に度々会って個々の近況を話すこともありました。
産後の体と心に向き合った1ヶ月
約1ヶ月と短い期間ではあったものの、とても濃厚な時間を過ごせた期間でした。
「楽しかった」というのが率直な感想と、久しぶりに言葉をひねり出すという頭の使い方をして「すっきりした」という感覚もありました。
少し大げさですが、1人の女性であることを思い出すきっかけができた機会でもありました。
こうした体験を通して、産後うつ・夫婦不和といった社会問題を解決したいというのが、マドレボニータの理念にもあることを、受講してから知ったのです。
ここでは私の体験談をご紹介しましたが、マドレボニータをもっと知りたい方は、以下の記事も読んでみてくださいね。
写真協力
特定非営利活動法人 マドレボニータ
NPO法人マドレボニータ認定 産後セルフケアインストラクター 竹下浩美さん
東京都杉並区・中野区・練馬区・小平市を中心に活動(https://plaza.rakuten.co.jp/hiromile/)